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異世界で飛行機を作るには

異世界へ行ったときに問題になるのが物の価値です。
例えば、現代では布の値段は非常に安いですが、産業革命以前は非常に高価で服一着の値段が庶民の月給よりも高いのが普通でした。
このため、昔の人は服を一着しか持っていないのが普通でした。

そんな異世界で熱気球を作ろうとしたら、気球一個分の布を集めるのが大変です。
近代以前の主婦は家族の服を作るのが重要な仕事でした、その仕事内容は原料を集めて糸をつむいで布を織るところから始めるハードモードで半年で一着作れたら一人前と呼ばれるほどの重労働でした。例えば3人乗り程度の気球を作ろうとした場合に必要な布の面積は800m2にもなります。
人間1人分の服を作るのに必要な布の面積は古来より一反とされてきました。
現代人の体格に合わせた旧世界の21世紀基準だと反物は鯨尺1尺=37.88cmで計算すると、
一尺五寸(39.8cm)×三丈五尺二寸(13.5m) = 一反 = 5.373m2です。
気球に必要な布が約800m2なので端数切り上げ149人分です。

一人の人間が年間二反の布を生産できるなら75人がかりでも1年かかります。
本格的な半自動織機が登場した時代でも熟練した織職人でも一日一反と言われていたので、織機10台+職人10人でも二週間以上かかります。
一人でやっていたら一年かかっても終わりません。

さらに、これだけの布を縫い合わせるのもミシンが無い手縫いだと物凄く時間がかかります。
15世紀の欧州なら布を調達して縫い合わせるだけで小さな都市一つ分の経済力が必要になります。

熱気球の原理が簡単なのにルイ16世の時代の1783年まで出来なかったのは単純に布が用意できなかったからではないでしょうか?
1783年ごろのフランスは布の生産量が大幅に増えてファッションブームの真っただ中で中古の布が広く流通して縫物職人も余っているぐらいで、布が余って初めて熱気球は実現したと考えられます。ナーロッパに異世界転生したら気球を作るためのコストは現代とは比べ物にならないほど高いかもしれません。

空を飛ぶためには紡績業の発展が必要でした。

ライト兄弟の真似をして飛行機を作ろうとした場合、材料のアルミニウムが無いとどうにもなりません、鉄だと重くて飛べません。

ライト兄弟が飛んだ時代はすでにアルミニウムが普通に入手できる世界でアルミニウム製の大きな部品を特注できる工場も存在していました。

ライト兄弟が空を飛びたいと願った時、彼らがいた世界には必要な物がそろっていたのです。

逆に日本の二宮忠八の玉虫型飛行器が成功しなかったのは彼が空を飛びたいと願った時の日本にはエンジンを作れる環境が無かったからです。

空を飛ぶためにはエンジンの出力重量比が重要になってきます、最低でも重さ100kgあたり30馬力は出す必要があります。

21世紀の実在するウルトラライトプレーンの一般的なエンジンであるロータックス582は重さ50kgで64馬力を発揮します。
同じ馬力でもさらに軽いエンジンもあります。

つまり、まともに飛べる飛行機を求めるなら2kg1馬力の出力重量比が必要になってきます。
機体重量全体ならパワーウエイトレシオ5kg1馬力が求められます。
これは20世紀末から21世紀の工業水準なら高性能なバイクやスポーツカーのエンジンなら十分に発揮できる数字です。
実際にイランなどでは日本の自動車エンジンを使った軽飛行機が作られれいるぐらいです。

問題は異世界の工業力次第になってきます。
もしも、異世界にグレードの高いアルミニウムやチタン合金をはるかに上回るミスリルやオリハルコンのような金属があって、それでエンジンを作れるなら、
現実世界では不可能なパワーウエイトレシオのエンジンを作って無双チートもアリかもしれません。

全ては異世界工業力次第です。

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