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教会法のセキュリティホール

 16世紀~18世紀にかけて徹底して自殺したら地獄に落ちると言い続けたスウェーデン国教会ではとんでもない宗教脱法行為が横行しました。
アウクスブルク信仰告第12条「改悔」に「洗礼後罪を犯した者は悔い改める時はいつでも、罪の赦しを得る。また教会は、赦罪宣言を与えるべきである」と書かれているので、
犯罪者に対して「自分の罪を告白して悔い改めた死刑囚は天国に行ける」と説いていました。
そして、当時のスウェーデンの法律では子供を殺すと斬首刑になりました。

 ここから導き出された結論というか、教会法の脱法行為、
抵抗できない幼い子供を自分が天国に行けるように自殺するために殺害して改悔してから死刑になるトンデモないセキュリティホールが出来てしまったのです。

殺人→改悔→死刑→天国

 18世紀のスウェーデンでは子供を殺害した動機の第二位が「天国に行ける自殺」になってしまいました。
ちなみに、第一位は未婚の母が社会から不貞を追求されるのに耐えられなくなって自分の子供を殺害でした。
なんと、当時のスウェーデンの首都ストックホルムで起きていた殺人事件の半分以上が子供を殺した女性というありさまでした。
1740年に処刑されたクリスティーナ・ヨハンスドッター(Christina Johansdotter)という女性は死んだ婚約者に天国で再会するために天国に行ける自殺手段を考えた末に
当時、知れ渡っていたセキュリティホールを利用して友人の子供を借りてきて斧で首をはねてから警察に自首して死刑になりました。

 1754年に法律にセキュリティホールを塞ぐパッチをあてようとして厳罰化がはかられ、
自殺するための殺人は広場の恥の柱に2日間拘束して晒し者にして、頭に子供殺しの犯罪者である入れ墨が彫られ、鞭打してから、絞首刑にされるようになりました。
ところが、事件は全く減りませんでした。
その後、1771年にグスタフ3世の治世になると優しい王様は死刑を減らしました。
その中で子供を殺した女性は終身刑に減刑され、自殺目的の殺人が出来なくなりました。
凶悪犯罪を撲滅したのは厳罰ではなく王の慈悲だったのです。

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